もうすぐ3歳になる孫のために、ベビーハイチェアを制作してみることにしました。
今回は、その制作過程の中で重要な役割を果たす「治具」と、それを使って制作する「パーツ」について説明します。
治具とは?

「治具」とは、同じ作業を何度も同じように再現できるようにする為の器具の総称です。
「治具」と書いて 「じぐ」と読みます。
詳しい一般的な説明は、こちらをご覧いただくと良いでしょう。
ともあれ、DIYもそうですし、私が携わってきた建築業でも「治具」は欠かせません。
この治具は、既製品として売っておらず、予め自分で制作する必要があることが多いです。
治具1. ガイド
こちらをご覧ください。
この治具は、約10センチ角の合板の上に、幅15ミリ×厚さ12ミリの板を貼り合わせたものです。
この場合の厚さ12ミリの板は、厚さ12ミリから切り出したものを使っています。けっこう分厚いですが、角材ではありません。
こちらを何に使うのか? それは後程ご説明します。
よく一片がおよそ○cmの正方形を「○cm角 」と呼んだりします。
また、治具にはよくメモを書いたりします。

この写真のメモでは、制作するベビーハイチェアの寸法について予めメモしています。
こんな感じで治具に鉛筆にメモしておくと、紙のようにボロボロになったり、無くしたりしにくく、後で消しゴムで消せるので便利です。よくやります。
今回のベビーハイチェアの場合、後脚(うしろあし)が床面と直角でなく、少し前に倒れているようにしたいと考えています。そのため、その他の折れ具合(傾き具合)を予め定めて、それを鉛筆書きで記しています。
寸法について、もう少し詳しく補足すると、 幅を「35」としている箇所は、材料の幅が35センチであることを示しています。また、点線の部分は直角となる部分の線で、幅35、高さ3.5、角度90°となる寸法を書いています。中学生で習う「三平方の定理」が成り立つ箇所を具体的にしておくのは、後々でバランスを取るのに重要です。
長い板からパーツを切り出す
一見すると、単に長いだけの板です。しかし、ベビーハイチェアの重要なパーツの1つです。
というのも、これはベビーハイチェア制作に使う材料の一つで、ベビーハイチェアを支える4本の脚と、ベビーハイチェアの肘掛として使います。
大きさは、幅35ミリ、厚さ20ミリ、長さ700ミリ(70センチ)くらいで 5本もあれば良いと思います。
こういう板材はホームセンターなどで購入する、できれば購入の際に必要な大きさに加工して貰うとラクです。

ちなみに、インターネットで購入しようとすると、こういう板材を買って切り出す必要があります。手間や配送料を考えると、ちょっと大変かもしれません。
そういう手間などもDIYの醍醐味と言えばそれまでなんですが。
もしかしたら、試行錯誤する中で寸法は変わってくるかもしれませんが、一旦はこんな感じで進めます。
パーツ製作に必要な工具は?
DIYをする人で、こちらの工具を知らない人は少ないでしょう。
電動の丸ノコです。
ご覧の通り、本業で使い込んだもので、とにかく木材を切るのには非常に便利です。チェーンソーなどと比べて、ちょっとは安全です。使い方を誤れば危ないのは変わりないのですが。
今回はこの丸ノコを使って、板材からパーツを切り出すのに加えて、パーツに切り込みを入れるのに使います。
上の写真のように、切り込みの深さは適当な合板(今回は厚さ5ミリ)を敷いて調整します。
そういう意味では、この合板も「治具」と言えるかもしれませんが、説明は省略。

ちなみに目分量で切り込みを入れようとする失敗するので、こういう機材は用意した方が良いです。普通のノコギリだと、一律な切り込みを入れるのは大変だと思います。
なお、私の使い込んだ機種とは違いますが、下記のように様々な電動の丸ノコは一般的に販売されています。
とにかく木材を切り出すにはとても便利ですが、一般家庭に必要なものかというと微妙です。
器用さに不安がある人は、ホームセンターでの加工サービスを利用することをオススメします。
ベビーハイチェアのパーツを加工する
実際に切り出す様子はこんな感じです。
先程の治具を使って、パーツに切り込みを入れています。
私は左利きなので、普通の丸ノコがこの写真のように使えます。右利きの方は、丸ノコや治具を置く位置が変わってくるはずなので、注意が必要です。
あと、白く見えるのが先程製作した「治具」です。先程の写真は、この治具の裏側でした。写真を見ると分かる通り、両面に合板を貼って安定度を高めています。
最後に、実際に切る手順ですが、いくつかコツがあります。
- 切る位置を鉛筆で「墨付け」(木材に加工をするための目印をつけること)をします。
- 先程「墨付け」した墨(目印の線)に合わせて、治具をセットします。
- その治具に沿って、 ノコギリの刃を当てて切ります。

丸ノコだと墨は一部に治具が合っていれば大体切れますが、普通の手引きのノコギリの場合は治具の端に墨を合わせて切る必要があります。
治具でベビーハイチェアのパーツを加工したら
永らく職人をやっていると、どうも「治具」と「工具」を使って切ることが当たり前なんですが、ライトなDIYユーザーとは少し感覚が違うかもしれません。そこまでやるの?と思われるかもしれません。

しかし、キチンと道具を用意して作るのと作らないのでは、精度、品質、安全さに大きな差が出てきます。
DIYで加工するときには、加工する「工具」だけでなく、それを助ける「治具」もぜひ検討してみてください。
今回切り出したパーツがどういう感じで出来上がったかは、また次回の記事でお見せします。